2016年8月21日日曜日

欧州連合は酷い組織

日本の大衆一般は欧州連合をどのように思っているだろうか。ヨーロッパ連合だから福祉が充実していて、民主的で協調性があって経済的にも良いだとか思っている方もいるのではないだろうか。
はっきり言いましょう。欧州連合は仲良し連合だというのは間違った認識です。

ニール・デービッドソンのお話。
欧州統合に向けての地味な動きは第2次世界大戦のすぐ後1947年に始まった。10月には関税及び貿易に関する一般協定(GATT)が署名された。これはソ連に対抗する必要があったからだ。 本格的なEUの起源は1957年のローマ条約と、欧州経済共同体(EEC)の設立である。イギリスでは共通市場と呼ばれていた。欧州経済共同体には4つの意図があった。
1)市場を個々の国家の国境をこえるサイズに拡大すること、
2)EEC内での保護主義を廃止し、EEC外との貿易には保護主義をとること、
3)ドイツとフランスに対抗できる国を含めること、(これができなかったらドイツとフランスは再び戦争を起こしていたかもしれない)
どうも保護主義が1929年の世界恐慌以後の経済恐慌の原因の一つだったという考え方があるようですが、これは間違った意見だと思います。
4)東西の冷戦でソ連に対抗する必要があった。アメリカもEECには反対しなかった。 この点は重要だ。欧州連合というのはアメリカに対抗するためのものだという誤った意見がある。 ウクライナやユーゴスラビア問題ではEU各国で足並みが揃わないことからも、EUがアメリカに対抗するものではないというのはないことがわかる。

EU内は不均一な構造で、大国だけが得をするシステムになっている。 小国ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアの命運は支配国ドイツが握るというようなシステムを作り出している。 それでいてEU外には食料の輸出ダンピングと輸入ブロックをかけるわけだ。 欧州連合のこれらの面は改革されるはずだとする意見があるが、されるかどうかは不透明である。ギリシャのヤニス・バルファキスなんかは別の欧州は可能だといって、EUの改革を考えている。 EUの問題点を詳細にかたりつつ、EUには改革が必要だといっている。だが、彼らはユートピア思想持ちなのであり、革命思想持ちではない。 EUが改革を行うならとうの昔にやっているはずである。
EUの主組織は選挙で選ばれていない者らが運営する。欧州中央銀行、欧州委員会、欧州理事会などである。EU加盟国は法律制定を主導できず、欧州委員会の決めたことに従うのが通例となっている。
ハイエクの1939年の記事The Economic Conditions of Interstate Federalismで、ハイエクは官僚が主導するEUのような組織を支持していた。 そこでは政治家や市民が市場の秩序を脅かすような要求ができず、経済政策は厳正なルールの下に置かれる。それはまさに新自由主義の一部である。
極左はEECには反対だった。 1970年代後半に出現し始めた新自由主義はEECにとって好都合だった。EECは資本主義の組織となった。 EUが労働者の権利や環境を守っているというのは間違いである。スコットランドの漁業はEUの共通漁業政策のせいで壊滅的となった。 魚の乱獲の問題はあるが、漁業に従事するものを他でどこに雇うかなどの代替案を出そうとしないEUが労働者をまもっているわけがない。
.....


欧州連合は本当に酷い機関だと思います。ハイエクが欧州連合のような組織運営を支持していたというようなことからして、新自由主義と欧州連合のつながりの深さを実感します。EUの運営はドイツや欧州委員会の独裁で、ギリシャなど周辺国の経済は恐慌が続いていて、難民は続々と押し寄せ現地の人々と衝突をし、シェンゲン条約によってテロリストが自由に活動できて、EUはこれにまともに対処できていません。左派はEUが労働者を保護しているなどどたわごとを言っていますが、フランスだって労働者の保護どころか安い残業代で労働者をこき使おうとしているわけです。 欧州連合が仲良し連合だという認識も間違っていて、最近ではギリシャがドイツを訴える計画でいます。 第二次世界大戦でドイツがギリシャを侵略し1943年にドイツ軍が317人のギリシャ民間人を虐殺したとギリシャが言っているわけですが、ギリシャはその戦後賠償金をドイツに支払ってもらいたいわけです。 賠償金は最高で4500億ドル(45兆円!)にまでのぼるそうです。戦争から60年以上経っているので、戦後賠償の話は解決していてもおかしくないはずです。ですがギリシャは昔の戦争犯罪をもちだしてドイツに抵抗したいわけです。これからも欧州連合が仲良し連合でないことがわかります。 またイタリアでは大手の銀行が潰れそうです。破産となれば公的資金が投入されますが、EUがイタリアを支援する時に、各国が協調するでしょうか。自分のところにも金くれと交渉するかもしれません。面倒なことになるでしょうね。テロ事件も続いています。EUにいるかぎりはEU移民を制限できませんし、EU移民に紛れてテロリストが侵入してくるかもしれません。昨年ドイツは100万人以上のシリア難民をドイツに入れましたが、このシリア難民が何年かして欧州連合の市民権を得てEUを動き回ることができるようになるでしょう。シリア難民の中にはテロリストも紛れているかもしれません。テロリストがEU内を自由に移動するようになれば大きな問題になります。このようなことを考えれば、イギリスがEU離脱を決めたのは正しい判断だということがわかると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿