最近のホットな宇宙物理学の話題というとホットジュピターの発見などが挙げられる。また、遠くない将来に重力波の検知もなされるかもしれない。今回Nature online (27/Oct/2010)に掲載された記事は太陽の2倍の質量を持つ中性子星の観測である。中性子星は、超新星が自身の重力にてつぶれた天体であり、主に中性子からなる。中性子はフェルミオンであるから、多くの中性子からなる系では中性子同士はパウリの排他原理によって異なるエネルギー状態をとらざるを得ない。この量子効果によって中性子星がさらにつぶれることがないわけである。極めて熱く、太陽の約1.6倍程度の質量をもち半径は約10kmである。太陽質量の2倍~3倍の天体は、中性子星ではなくクウォークスターと考えられている(太陽質量のおよそ1.4倍以下は白色矮星)。
中性子星は、超新星がつぶれるときの軌道角運動量保存則のために高速で回転している(周期おおよそ2 msec to 20 sec)のも一つの特徴だ。この回転によってパルス波や強烈な磁場(1 to 100 MTesla or 10 to 1000 Giga gauss)が生成されると考えられているが、詳細についてはさらなる研究が必要である。また、この中性子の系の状態方程式の決定は、一般相対論も絡んでくるので難しい。(Shapiro delay という効果が質量決定に使われるらしい。あとで時間があるときに調べるつもりである。)
中性子の内部構造の考察も難しい。上記のオンラインNatureにも出てくるPaul Demorest は「中性子星という名称ははmisnomer だ」とのべている。Rival modelによれば中性子内部は自由クウォークもしくはハイペロンであるらしいが今回の中性子星の発見でやや後者が不利になったようだ。
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