今年5月11日にカダフィ大佐が国営テレビ(Libyan state television)に出演し、共演者である部族指導者らによってカダフィ軍の勝利を祈願されたようだ。カダフィ大佐が公の場に姿を現すのは4月30日以来である。
NATOがカダフィ軍の補給路をたたいたとしてもそれらは勝敗の決定要因にはなっていない模様だ。けれども今年5月14日に、カダフィ大佐の妻であるサフィア氏と娘のアイシャ氏がリビアの代表者と共にチュニジアに入り、同国南部のジェルバ島(Djerba)に滞在しているという情報が入ってきている。一方アルジャジーラは、「チュニジア内務省がカダフィ大佐の妻と娘のチュニジア滞在を否定した」と報じている。このことからもカダフィ側も決して万全というわけではないことがわかる。
足並みが乱れているとはいえNATOは空爆を継続するようだ。今年4月30日にトリポリなどを爆撃したが、この空爆でカダフィ大佐の息子(Saif al-Arab セイフアラブ氏)や孫が死亡したと言われているが定かではない。カダフィ大佐は息子の葬儀には出席しなかったが、これは同氏がセキュリティに細心の注意を払っているためだという。それでも自分の息子の葬式に出席しないのはいかがなものかとトリポリにいるカダフィ体制の支持者も疑問を抱いている。LSEがカダフィ大佐の次男であるセイフイスラム氏から多額の寄付金(約2億円)を受け取っていたことは過去に述べたが、セイフイスラム氏は健在のようだ。
国際刑事裁判所(The International Criminal Court; ICC)がカダフィ大佐やその息子、その国の諜報機関などに逮捕状を出すことを検討しているようだ。これにより国連加盟国はもし彼らがその加盟国の領域に入れば彼らを逮捕することが要求されるようになるだろう。カダフィ大佐の妻と娘がチュニジア入りしたのはチュニジアがICC締約国ではないことと関係があるのだろうか。
その数時間後にトリポリとその周辺への空爆を行ったようだ。だがNATOによる空爆は精度が低く、この空爆自体にリビア国民を守るだけの効果があるのか疑問である。むしろこの空爆が罪無きリビア市民の生命を脅かしているという事実も否定できない。NATOの元少将であるChris Parry氏は、NATOによるリビアにおけるミッションは、はやくもイラクやアフガニスタンの二の舞になりつつあると述べている。また、リビアが無政府状態になる前に今回の軍事作戦を根本から見直す必要性を唱えている。実際にリビア内戦は膠着状態に入りつつある。労働党のShadow cabinet secretary of defenceであるジム・マーフィーは「NATOは事態を打開できておらず、もし英国が新たな軍事兵器・部隊を投入する計画ならば議会にそれをしっかり情報開示するべきである」と述べている。基本的には民主主義国家であっても軍事機密は一部の上層部が握っているわけだが、どれだけ情報をオープンにするかは国によって(国の成熟度によって?)異なるだろう。政権与党には政府を通じてそれなりの情報が入ってくるだろうが、野党だと防衛省の官僚とのコミュニケーションが与党に比べて少なくなる。少ない情報の中で新たな立法措置のための議論がまともになされる保証はない。
アパッチは攻撃用ヘリコプターとして1991年の湾岸戦争に投入され、米軍の戦力となった。アパッチを作戦に投入すれば標的への命中精度がより高まり誤爆を減らせるらしいが、マーフィーによればこのアパッチの投入によってリビア内戦が激化する恐れがあるという。また国連安保理決議1973では、飛行禁止区域設定、リビア市民の安全確保や即時停戦などを目的とした軍事介入が了承されたに過ぎず、アパッチ部隊展開によってカダフィ大佐を頂点とするレジーム(支配体制)を打ち倒す類の軍事行動が国際法上許されるかどうか議論が分かれる。そんな中フランスは既にヘリコプター部隊をリビア内戦に投入する決断を下していて、 この決定が英国議会にも影響を及ぼしている。労働党は、リビア内戦への同国の軍事介入をサポートしつつも野党としての監視により重点を置くとしている。与党である保守党の議員であるジョン・バロンは「アパッチが配属されるされないに関係なく、リビア内戦の激化は想定の範囲内であり、リビアのレジーム打倒が我々の軍事介入の目的だ」とまで述べている。保守党は国内向けには財政危機を煽り緊縮財政を強行しながら、対外的、とりわけコストを要する軍事行動には積極的のようだ。
現状の国連安保理決議ではNATOができることにかなりの制約があり、リビア市民を守ることはできるが積極的な戦闘行動をとれるわけではない。ドイツやロシアが棄権したほど安保理内で議論が分かれるような前回の国連安保理決議1973を上回る裁量権をNATOに与えるような新たな決議を得ることは相当難しいだろうし、実際可決したとしても誰が(どの国が)率先して地上部隊を派遣するのか見通しが立っていない。キプロスの沿岸に、万一に備え停泊している、駆逐艦や中型戦艦、さらには分遣隊からなるRoyal Navyを動かすことも視野に入れるべきとの見解もある。これらが動けばカダフィ軍への大きな圧力になるほか、NATOが少数の地上部隊の派遣という選択肢を得ることになる。
アフガニスタン抗争においても同様にNATOは地上部隊の派遣には極めて消極的である。理由は簡単で、犠牲者が増えるからである。コストについても同様で、Parry氏はリビアでの今回の作戦自体が安上がりになっているために十分な軍事行動をとれないことを危惧しているようだ。
リビアのスポークスマンであるMoussa Ibrahim氏は内務省ビルへの空爆は、ベンガジにいる反乱軍のリーダーに関する書類やカダフィ軍の資本がそのビルにあったためとしている。Ibrahim氏は、「もし本当にNATOがリビアでの停戦を望んでいるのなら、彼らはカダフィ側と何かしらの会談や和平交渉を行うはずだが、実際にはリビア市民を守るという大儀の下でリビアのレジーム打倒を行っている(目指している)」と付け加えている。このような連合軍によるリビアへの軍事ミッションは2003年のイラク戦争時に米国によるイラク侵攻が行われた際の手法とさして差がない。
2011年4月18日月曜日
リビア内戦(3)
英米仏が、リビア上の飛行禁止区域の設定などを定めた国際連合安全保障理事会決議1973
(安保理決議1973)を経て今年3月19日に有志連合という形でついに本格的にリビア内戦への軍事介入を始めたが、主要各国の足並みはそろわない。国連決議案1973にドイツ、ロシア、中国、ブラジルそしてインドは棄権。BRICS首脳会議ではNATOのリビア空爆に反対し、あくまでも平和的解決を求める声明を出した。ドイツ国内でも軍事行動には賛否両論である。
一方で、米国のオバマ大統領、仏国のサルコジ大統領そして英国のキャメロン首相は、ガダフィ軍によるミスラタ市民への殺戮を「中世の包囲攻撃である」とし、、 共同署名で「もし世界が(ガダフィ軍の残虐な行為を)容認するようなことがあれば、それは途方もない裏切り行為となるだろう」と声明を出している。
だが、NATO加盟国の多くが空爆に消極的だ。アフガニスタン抗争における空爆で戦費がかさんだためにリビアにまで軍事行動をかける余裕が無いのだろう。またPIIGS諸国の財政問題とそれへのECBの対応もこれに関係していると思われる。(自国に中央銀行がないユーロ圏の場合は、お金を刷って自国通貨の供給量を高めるという政策がとれないのである。それがその国の財政政策に影響を及ぼすのは必然だ。)その結束の弱まったNATOがカダフィ軍の補給路を叩いたのだが、依然としてその軍隊の態勢は崩れていないようである。というのも砂嵐がNATO軍の空爆に対する防護壁になっているからで、カダフィ軍はアジュダビヤー(人口15万の都市)の西部ゲートへの攻勢を強めている。先月アジュダビヤーはガダフィ軍によって包囲されたがNATO軍が空爆したことで、その都市を防衛することに成功した。しかしガダフィ軍による市民への無差別攻撃は続けられている。人口70万を誇るミスラタはカダフィ軍の激しい攻撃に曝され続けており、この2ヶ月の間に数百の市民が犠牲になったといわれる。前の記事でも述べたが、人口44万人のベンガジは反乱軍の拠点であり、人々はガダフィ軍の攻撃から逃れるためにベンガジへと向かっている。
ミスラタにいる反乱軍はNATOに地上部隊を派遣するよう要請している。だが国連安保理決議1973では、外国の軍隊によるリビア占領の項目を除外しているために政治家が更なる軍事行動に踏み切れないでいる。反乱軍はNATOの軍事アクションが不足していることを嘆いている。
ガダフィ大佐の生まれ故郷であるスルトにいた人の証言から、ガダフィ軍が捕虜に対して残酷な行為を行っていることがわかる。内容が恐ろしいのでこのブログでは書けない。これが真実だとすれば、これは明らかに国際法違反でありまた人道的観点からも決して許されないことだ。英国のキャメロン首相は「ガダフィ大佐が依然としてミスラタにて殺戮を行いその都市を支配下に置く意思があるのは、(私にとっては)疑いの無いことだ」、「そしてベンガジの支配権までも考えていて、もしガダフィ軍がベンガジを侵略すれば、間違いなく虐殺が起きるだろう」、「我々は市民を守るためにあらゆる手段を講じるべきである」と述べている。
カダフィ軍がクラスター爆弾を使ったという報道がされているが、簡単にそれを信じるのは危険である(リビア政府側はそれを否定している)。1990年代初頭の湾岸戦争のときには「フセイン軍が防衛のためにペルシャ湾に原油を廃棄した」などという報道がされたが、真実は米軍が誤爆したクウェートの石油精製工場やパイプラインから多量の原油が流出したことが原因であった。米軍が世界からの支持を得るために行ったでっち上げであったことがわかっている。またイラク戦争開戦の米軍の動機だった「フセイン軍が大量破壊兵器を保有している」というのは、その後のIAEAによる調査によって事実ではないことが確認されている。(同年IAEAはノーベル平和賞を得ている。)
しかしながらクラスター爆弾を使ったという証拠は、目撃者の増加と共につみあがってきているようだ。リビア政府はトリポリからジャーナリストがミスラタへ入ることを禁じている。 ヒューマン・ライツ・ウォッチは写真や軍事専門家からの証言を公開して、ガダフィ軍によるクラスター爆弾の使用の蓋然性を高めている。 ヒューマン・ライツ・ウォッチ の武器部門の主任であるスティーブ・グース氏は「ガダフィ軍はクラスター爆弾を使用し、結果として多くの不発弾がまき散らされ、多くの市民へ重大な危険性を与えている」と述べている。
クラスター爆弾の使用は100以上の国で禁止されているが、リビアはこの国際条約に署名していない。内政不干渉の原則があるとはいえ、人道的にはこのような兵器は全廃すべきだ。国際法の難しさを実感する。
一方で、米国のオバマ大統領、仏国のサルコジ大統領そして英国のキャメロン首相は、ガダフィ軍によるミスラタ市民への殺戮を「中世の包囲攻撃である」とし、、 共同署名で「もし世界が(ガダフィ軍の残虐な行為を)容認するようなことがあれば、それは途方もない裏切り行為となるだろう」と声明を出している。
だが、NATO加盟国の多くが空爆に消極的だ。アフガニスタン抗争における空爆で戦費がかさんだためにリビアにまで軍事行動をかける余裕が無いのだろう。またPIIGS諸国の財政問題とそれへのECBの対応もこれに関係していると思われる。(自国に中央銀行がないユーロ圏の場合は、お金を刷って自国通貨の供給量を高めるという政策がとれないのである。それがその国の財政政策に影響を及ぼすのは必然だ。)その結束の弱まったNATOがカダフィ軍の補給路を叩いたのだが、依然としてその軍隊の態勢は崩れていないようである。というのも砂嵐がNATO軍の空爆に対する防護壁になっているからで、カダフィ軍はアジュダビヤー(人口15万の都市)の西部ゲートへの攻勢を強めている。先月アジュダビヤーはガダフィ軍によって包囲されたがNATO軍が空爆したことで、その都市を防衛することに成功した。しかしガダフィ軍による市民への無差別攻撃は続けられている。人口70万を誇るミスラタはカダフィ軍の激しい攻撃に曝され続けており、この2ヶ月の間に数百の市民が犠牲になったといわれる。前の記事でも述べたが、人口44万人のベンガジは反乱軍の拠点であり、人々はガダフィ軍の攻撃から逃れるためにベンガジへと向かっている。
ミスラタにいる反乱軍はNATOに地上部隊を派遣するよう要請している。だが国連安保理決議1973では、外国の軍隊によるリビア占領の項目を除外しているために政治家が更なる軍事行動に踏み切れないでいる。反乱軍はNATOの軍事アクションが不足していることを嘆いている。
ガダフィ大佐の生まれ故郷であるスルトにいた人の証言から、ガダフィ軍が捕虜に対して残酷な行為を行っていることがわかる。内容が恐ろしいのでこのブログでは書けない。これが真実だとすれば、これは明らかに国際法違反でありまた人道的観点からも決して許されないことだ。英国のキャメロン首相は「ガダフィ大佐が依然としてミスラタにて殺戮を行いその都市を支配下に置く意思があるのは、(私にとっては)疑いの無いことだ」、「そしてベンガジの支配権までも考えていて、もしガダフィ軍がベンガジを侵略すれば、間違いなく虐殺が起きるだろう」、「我々は市民を守るためにあらゆる手段を講じるべきである」と述べている。
カダフィ軍がクラスター爆弾を使ったという報道がされているが、簡単にそれを信じるのは危険である(リビア政府側はそれを否定している)。1990年代初頭の湾岸戦争のときには「フセイン軍が防衛のためにペルシャ湾に原油を廃棄した」などという報道がされたが、真実は米軍が誤爆したクウェートの石油精製工場やパイプラインから多量の原油が流出したことが原因であった。米軍が世界からの支持を得るために行ったでっち上げであったことがわかっている。またイラク戦争開戦の米軍の動機だった「フセイン軍が大量破壊兵器を保有している」というのは、その後のIAEAによる調査によって事実ではないことが確認されている。(同年IAEAはノーベル平和賞を得ている。)
しかしながらクラスター爆弾を使ったという証拠は、目撃者の増加と共につみあがってきているようだ。リビア政府はトリポリからジャーナリストがミスラタへ入ることを禁じている。 ヒューマン・ライツ・ウォッチは写真や軍事専門家からの証言を公開して、ガダフィ軍によるクラスター爆弾の使用の蓋然性を高めている。 ヒューマン・ライツ・ウォッチ の武器部門の主任であるスティーブ・グース氏は「ガダフィ軍はクラスター爆弾を使用し、結果として多くの不発弾がまき散らされ、多くの市民へ重大な危険性を与えている」と述べている。
クラスター爆弾の使用は100以上の国で禁止されているが、リビアはこの国際条約に署名していない。内政不干渉の原則があるとはいえ、人道的にはこのような兵器は全廃すべきだ。国際法の難しさを実感する。
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2011年4月10日日曜日
リビア内戦(2)
およそ40年間リビアを統治してきたカダフィ大佐の忠臣による軍と反乱軍との戦いが今年2月15日に始まり2ヶ月を経ているが、既に先月17日に国連安保理がリビアでの軍事行動を容認する決議を採択(国連安保理決議1973 United Nations Security Council Resolution 1973)し、それに基づき英米仏を中心とした多国籍軍(ベルギー、オランダ、カナダ、デンマークなどが参加)が「オデッセイの夜明け」というリビアへの軍事作戦を開始している。決議1973の採決にはロシア、中国、ドイツ、インドそしてブラジルが棄権している。ドイツの棄権票はドイツ国内でも意見が二分されているようで、ドイツ前外務大臣のJoschka Fischerは、現外務大臣Guido Westerwelleが今回安保理決議1973に棄権したことを「スキャンダラスな過ちだ」とし、「ドイツは国連や中東での信用を失うだろう」と述べている一方で、世論はドイツ有権者の3分の2がドイツの軍事作戦参加に反対であり、Westerwelleの決断を支持している。Westerwelleは棄権票ではなく反対票を投じたかったがメルケル首相に説得され棄権としたと報じる新聞もある。
欧州中心の軍事行動は2003年のイラク戦争以来となる。3月19日には米軍のトマホークミサイル約100発がトリポリなどの軍事機関へむけて発射された。多国籍軍の指揮権はNATOに移ったが、そのNATOはリビアにおける飛行禁止区域の設定を国連決議1973によって強制し、即時停戦の要求、また加盟国へカダフィ軍からリビア市民を守るために軍事力を行使することを要請している。
南アフリカのZuma大統領がリビアのトリポリへ、停戦のための話し合いのために到着して、その後NATOによる空爆が行われた模様だ。Zuma大統領はカダフィ大佐との面会のみならず、反乱軍の拠点である人口44万人のベンガジへも訪れることになっている。
空爆はアジュダービヤ-(人口15万のリビアの都市)へ進軍する11両の戦車を破壊、またその都市の5倍の人口を誇るミズラーター郊外にて14両以上の戦車に打撃を与えた。また空爆によりカダフィ軍の補給路のための道路にクレーターができたという。
NATOの軍事作戦の指揮を執っているCharles Bouchardは 、カダフィ大佐とその軍はアジュダビヤーやミズラーター市民にも容赦ない攻撃をくわえていて、今回の空爆がカダフィ軍の兵器とその兵站機関を目標としたものだと述べている。
リビアでのオイル生産がおちこみ、たとえ反乱軍が原油生産を統治したとしても、生産量はリビア内戦前の3分の一にも満たないだろうと予想されている。今月8日には約30ヶ月ぶりに原油価格が1バレル$112を超えた。これが最近の欧州中央銀行の利上げにつながっている。
欧州中心の軍事行動は2003年のイラク戦争以来となる。3月19日には米軍のトマホークミサイル約100発がトリポリなどの軍事機関へむけて発射された。多国籍軍の指揮権はNATOに移ったが、そのNATOはリビアにおける飛行禁止区域の設定を国連決議1973によって強制し、即時停戦の要求、また加盟国へカダフィ軍からリビア市民を守るために軍事力を行使することを要請している。
南アフリカのZuma大統領がリビアのトリポリへ、停戦のための話し合いのために到着して、その後NATOによる空爆が行われた模様だ。Zuma大統領はカダフィ大佐との面会のみならず、反乱軍の拠点である人口44万人のベンガジへも訪れることになっている。
空爆はアジュダービヤ-(人口15万のリビアの都市)へ進軍する11両の戦車を破壊、またその都市の5倍の人口を誇るミズラーター郊外にて14両以上の戦車に打撃を与えた。また空爆によりカダフィ軍の補給路のための道路にクレーターができたという。
NATOの軍事作戦の指揮を執っているCharles Bouchardは 、カダフィ大佐とその軍はアジュダビヤーやミズラーター市民にも容赦ない攻撃をくわえていて、今回の空爆がカダフィ軍の兵器とその兵站機関を目標としたものだと述べている。
リビアでのオイル生産がおちこみ、たとえ反乱軍が原油生産を統治したとしても、生産量はリビア内戦前の3分の一にも満たないだろうと予想されている。今月8日には約30ヶ月ぶりに原油価格が1バレル$112を超えた。これが最近の欧州中央銀行の利上げにつながっている。
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2011年3月31日木曜日
東北大震災(5)
2009年の総選挙で「コンクリートから人へ」という安易なスローガンの下で勝利した民主党だが、そのコンクリートが今回の東日本大震災とそれに続く大津波から人や町を守ったケースがあったので紹介したい。
岩手県下閉伊郡普代村は人口約3000人の太平洋に面した村である。河北新報社の記事によると普代村には「東北一」と呼ばれる高さ15.5メートル幅205メートルの普代水門(コンクリート製)があり、約25年前(1984年)に普代川河口から約300メートル上流に建造された。1896年の明治三陸大津波で死者・不明者が1010人に及んだ普代村は、その教訓から防災のための防壁設置を検討したようだ。今回の大津波では20メートルを超える波が来たが、震災直後に久慈消防署普代分署が遠隔操作で普代水門を閉めたため津波は水門の上流200メートル付近の河川域で止まったようだ。これにより行方不明者1人死者0人、住宅被害は床上浸水1棟という最小限の被害に抑えている(3月25日現在)。深渡宏村長は「水門のおかげで村民の生命財産が守られた。漁業施設の再建に全力で取り組みたい」と述べている。
宮城県本吉郡南三陸町は人口約17000人の太平洋に面する町である。そのうち約10000人と以前連絡がつかない状況で、3月14日までに1000人の死亡が確認されている状況だ。 そんな中スポニチなども報じているが、行方不明だった南三陸町の佐藤仁町長が生還を果たした。3月11日に佐藤町長は町議会3月定例会の最終日の閉会の挨拶のさなかに地震に襲われ、立っていることもままならず、議場にいた約40人は机の下に隠れた。地震が収まった後、町議らと共に総合防災庁舎へ移動しそこで津波到来の連絡を受け3階建ての屋上に上がった。その庁舎は、1960年のチリ地震津波での被害を教訓とし、高さ11メートルの鉄筋コンクリート製の建物であり、地震・津波をはじめとする災害時における救助や被災者支援などの拠点となる施設だった。津波第一波がこの庁舎から300メートル離れた高さ7メートルの防波堤をこえて押し寄せ、この庁舎の全ての壁と天井をうちぬいた。屋上の金網に必死ですがりついた10人ほどの町職員らは波が引くと金網ごといなくなった。佐藤町長の体は偶然、外の非常階段の手すりにぶつかってとまった。30人いた屋上への避難者のうち佐藤町長を含む10人が残り、その10人は高さ5メートルの2本のアンテナにのぼった。第2波、3波が到来し10人の下を波が何度も行きかったが彼らはアンテナにしがみつきながら耐えた。11日夜はアンテナの上で10人が流れ着いた発泡スチロールや木くずなどを燃やして暖を取り、12日朝になって庁舎に絡まっていた漁業用ロープをつかって地上におりた。彼らは昼前に避難所である同町スポーツ交流村に着き、避難していた住民とともに生還を喜んだという。佐藤町長は「拾った命。町民のために全力を尽くす」と述べ、3月13日より公務に復帰し災害対策本部を設置、陣頭指揮を執っている。14日の会見では、「壊滅した地区も複数あり、米や毛布、水など支援物資の不足が著しい」と、生活に関連する物資等の緊急支援の必要性を訴えた。
このように公共事業が名目GDP成長のみならず国民の生命や財産をも守っていることが今回の震災で再確認されている。にもかかわらず一部の財政再建派は国債発行を抑制しようとしている。今日本国民とくに被災された多くの方々が生活物資の不足や震災後のストレスなどで苦しんでおられる。その方々のためにも今すぐ国債を10~20兆円発行して復興支援に当てるべきなのだ。できれば発行した国債は日銀に買い取ってもらうべきだ。
また防災対策に関しても、地震その他災害が起こってからでは遅いのだ。しっかりと前もって防災のための公共事業を行い、町や人を守る体制をつくっておくべきなのだ。
岩手県下閉伊郡普代村は人口約3000人の太平洋に面した村である。河北新報社の記事によると普代村には「東北一」と呼ばれる高さ15.5メートル幅205メートルの普代水門(コンクリート製)があり、約25年前(1984年)に普代川河口から約300メートル上流に建造された。1896年の明治三陸大津波で死者・不明者が1010人に及んだ普代村は、その教訓から防災のための防壁設置を検討したようだ。今回の大津波では20メートルを超える波が来たが、震災直後に久慈消防署普代分署が遠隔操作で普代水門を閉めたため津波は水門の上流200メートル付近の河川域で止まったようだ。これにより行方不明者1人死者0人、住宅被害は床上浸水1棟という最小限の被害に抑えている(3月25日現在)。深渡宏村長は「水門のおかげで村民の生命財産が守られた。漁業施設の再建に全力で取り組みたい」と述べている。
宮城県本吉郡南三陸町は人口約17000人の太平洋に面する町である。そのうち約10000人と以前連絡がつかない状況で、3月14日までに1000人の死亡が確認されている状況だ。 そんな中スポニチなども報じているが、行方不明だった南三陸町の佐藤仁町長が生還を果たした。3月11日に佐藤町長は町議会3月定例会の最終日の閉会の挨拶のさなかに地震に襲われ、立っていることもままならず、議場にいた約40人は机の下に隠れた。地震が収まった後、町議らと共に総合防災庁舎へ移動しそこで津波到来の連絡を受け3階建ての屋上に上がった。その庁舎は、1960年のチリ地震津波での被害を教訓とし、高さ11メートルの鉄筋コンクリート製の建物であり、地震・津波をはじめとする災害時における救助や被災者支援などの拠点となる施設だった。津波第一波がこの庁舎から300メートル離れた高さ7メートルの防波堤をこえて押し寄せ、この庁舎の全ての壁と天井をうちぬいた。屋上の金網に必死ですがりついた10人ほどの町職員らは波が引くと金網ごといなくなった。佐藤町長の体は偶然、外の非常階段の手すりにぶつかってとまった。30人いた屋上への避難者のうち佐藤町長を含む10人が残り、その10人は高さ5メートルの2本のアンテナにのぼった。第2波、3波が到来し10人の下を波が何度も行きかったが彼らはアンテナにしがみつきながら耐えた。11日夜はアンテナの上で10人が流れ着いた発泡スチロールや木くずなどを燃やして暖を取り、12日朝になって庁舎に絡まっていた漁業用ロープをつかって地上におりた。彼らは昼前に避難所である同町スポーツ交流村に着き、避難していた住民とともに生還を喜んだという。佐藤町長は「拾った命。町民のために全力を尽くす」と述べ、3月13日より公務に復帰し災害対策本部を設置、陣頭指揮を執っている。14日の会見では、「壊滅した地区も複数あり、米や毛布、水など支援物資の不足が著しい」と、生活に関連する物資等の緊急支援の必要性を訴えた。
このように公共事業が名目GDP成長のみならず国民の生命や財産をも守っていることが今回の震災で再確認されている。にもかかわらず一部の財政再建派は国債発行を抑制しようとしている。今日本国民とくに被災された多くの方々が生活物資の不足や震災後のストレスなどで苦しんでおられる。その方々のためにも今すぐ国債を10~20兆円発行して復興支援に当てるべきなのだ。できれば発行した国債は日銀に買い取ってもらうべきだ。
また防災対策に関しても、地震その他災害が起こってからでは遅いのだ。しっかりと前もって防災のための公共事業を行い、町や人を守る体制をつくっておくべきなのだ。
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Incidents
2011年3月23日水曜日
東北大震災(4)
今月20日、東京消防庁は241人の隊員と消防車44台を福島第一原子力発電所へ派遣し、3号機への放水活動を行った。3号機よりわずか2メートルの距離に放水車を置き、地上22メートルの高さから放水した。はなれた場所で海水をくみ上げ、それを消防車に送りながら放水を行ったようだ。送水にあたっては全長800メートルのホースをひいたようだ。放水は3回にわけ、トータルで20時間かかったようだ。福島第一原発では消防隊の活躍によりわずかではあるが事態を改善させつつある。しかし依然としてメルトダウンの危険性は払拭されてはいない。今月23日には3号機より黒煙があがり、復旧作業が中断しているらしい。以前にも述べたが、3号機だけ燃料としてプルトニウムを使っているのだ。東電としては、外部電源をつなぐことで冷却水を送り込む予定であったが、結局1~4号機で作業が中断してしまった。5号機は使用済み核燃料のプールの温度が50度未満であり安全圏内ではあるが、ポンプにトラブルが発生し再び冷却機能が失われた。
・メルトダウン
メルトダウンとは深刻な原子炉事故の非正式用語であり、International Atomic Energy Agency (IAEA) によって定義されてはいない。大雑把には、原子炉のコアの部分が融けてしまう状態のことをさし、core melting accident (CMA、炉心溶融)がメルトダウンに近い意味をなす。炉心溶融は、単位核燃料の温度がその核燃料の融解温度を超えたときに発生する。平時には冷却水が炉心を冷やしているのだが、なんらかのトラブルでこの冷却機能を上回る状態で炉心で熱が発生すると原子炉が暴走する形でコアの温度がその融解温度へ達する。メルトダウンの発生は放射性核種の外部リークという更なる災害をもたらしかねない。
メルトダウンの原因としては、圧力制御の喪失や冷却機能不全、原子炉の出力の突発的上昇などがある。圧力制御喪失では冷却材の圧力が再起不能なほど低下する。この際(冷却材として不活性ガスを使っているときに)熱輸送効率の低下が起こりうる。水圧冷却型の原子炉(PWR)では核燃料の周りに蒸気の絶縁バブルが発生したりすることがある。ガス冷却型の原子炉(GCR)ではこのような圧力調節能低下によってコアの部分の圧力低下を招き、熱輸送効率低下と核燃料の冷却機能に大きな障害が出る。しかし、一つでも機能しているガス循環があれば核燃料は冷却状態が保たれる。PWRの原子炉は商業用の原子炉としては最もよく用いられていて、沸騰水型の原子炉(BWR)がこれに続く。BWRでは上記のような蒸気バブルは発生しにくい。
冷却機能不全の原因は、冷却剤そのものの損失か冷却剤の輸送障害のいずれか(もしくは両方)である。GCRではグラファイトを中性子減速剤とし、CO2を冷却剤として使用しているために
先ほど述べたPWRにおける蒸気バブルの発生は、立ち往生した冷却水が過剰に加熱されることによって生じるという観点から輸送障害に入れることができるだろう。1979年の米国のスリーマイル島原発事故では機器系統の異常などのほか、冷却水が(安全弁の固着により、開いたままになり)大量に失われてしまったことが直接の原因になった。
原子炉の突然の出力上昇は、中性子減速剤の特性変化や制御棒の噴射・排出などにより、中性子の連鎖反応に関する増倍率をつかさどる制限が著しく変えられてしまうために起こる。high power chnnel-type reactor (RBMK)は旧ソビエト連邦で主に使われていた原子炉で黒鉛によって中性子が減速されるタイプの原子炉であり、2010年においても11機稼動しているといわれている。RBMKでは自然ウラン(ウラニウム235)を燃料として使えるために、安上がりだったことが使用の決め手だったのかもしれない。RBMKは反応性に関する正のボイド係数をもち、減速剤や冷却剤に蒸気バブルなどボイド(空虚・空隙)が形成されたさいに炉心の出力が増加するようになっている。バブルは中性子を吸収しないため、炉心の出力がさらに増加するという正のフィードバック効果をもっている。これが1986年の旧ソ連でのチェルノブイリ事故の原因のひとつだった。
RBMKや液体ナトリウム冷却型の原子炉では、炉心での発火もメルトダウンの原因になる。グラファイトはWigner効果(中性子線による固体原子の配置転換;1MeVの中性子の衝突が900の配置転換をおこすようだ)の累積に左右されやすく、グラファイト自体を過剰加熱させる原因となる。1957年の英国でのWindscale fireはこれが原因だった。
・復興国債
現在、政府が今回の震災の復興支援のための復興国債を10兆円発行し、日銀に買い取ってもらう計画を練っているという。国債の日銀買取には賛成だ。政府紙幣の発行と国債の中央銀行による買取は実質的に同じものだ。今回の震災での被害は阪神大震災をこえるものであり、緊急の経済支援は当然だ。そうでなければ一体何のための国家なのだ?あのレッセ・フェールでさえ防衛や治安維持には財政支出が不可欠であるとしているのに、福祉国家を標榜する日本がそれすらやらなかったら全く経済をしらないのと同じである。
・メルトダウン
メルトダウンとは深刻な原子炉事故の非正式用語であり、International Atomic Energy Agency (IAEA) によって定義されてはいない。大雑把には、原子炉のコアの部分が融けてしまう状態のことをさし、core melting accident (CMA、炉心溶融)がメルトダウンに近い意味をなす。炉心溶融は、単位核燃料の温度がその核燃料の融解温度を超えたときに発生する。平時には冷却水が炉心を冷やしているのだが、なんらかのトラブルでこの冷却機能を上回る状態で炉心で熱が発生すると原子炉が暴走する形でコアの温度がその融解温度へ達する。メルトダウンの発生は放射性核種の外部リークという更なる災害をもたらしかねない。
メルトダウンの原因としては、圧力制御の喪失や冷却機能不全、原子炉の出力の突発的上昇などがある。圧力制御喪失では冷却材の圧力が再起不能なほど低下する。この際(冷却材として不活性ガスを使っているときに)熱輸送効率の低下が起こりうる。水圧冷却型の原子炉(PWR)では核燃料の周りに蒸気の絶縁バブルが発生したりすることがある。ガス冷却型の原子炉(GCR)ではこのような圧力調節能低下によってコアの部分の圧力低下を招き、熱輸送効率低下と核燃料の冷却機能に大きな障害が出る。しかし、一つでも機能しているガス循環があれば核燃料は冷却状態が保たれる。PWRの原子炉は商業用の原子炉としては最もよく用いられていて、沸騰水型の原子炉(BWR)がこれに続く。BWRでは上記のような蒸気バブルは発生しにくい。
冷却機能不全の原因は、冷却剤そのものの損失か冷却剤の輸送障害のいずれか(もしくは両方)である。GCRではグラファイトを中性子減速剤とし、CO2を冷却剤として使用しているために
先ほど述べたPWRにおける蒸気バブルの発生は、立ち往生した冷却水が過剰に加熱されることによって生じるという観点から輸送障害に入れることができるだろう。1979年の米国のスリーマイル島原発事故では機器系統の異常などのほか、冷却水が(安全弁の固着により、開いたままになり)大量に失われてしまったことが直接の原因になった。
原子炉の突然の出力上昇は、中性子減速剤の特性変化や制御棒の噴射・排出などにより、中性子の連鎖反応に関する増倍率をつかさどる制限が著しく変えられてしまうために起こる。high power chnnel-type reactor (RBMK)は旧ソビエト連邦で主に使われていた原子炉で黒鉛によって中性子が減速されるタイプの原子炉であり、2010年においても11機稼動しているといわれている。RBMKでは自然ウラン(ウラニウム235)を燃料として使えるために、安上がりだったことが使用の決め手だったのかもしれない。RBMKは反応性に関する正のボイド係数をもち、減速剤や冷却剤に蒸気バブルなどボイド(空虚・空隙)が形成されたさいに炉心の出力が増加するようになっている。バブルは中性子を吸収しないため、炉心の出力がさらに増加するという正のフィードバック効果をもっている。これが1986年の旧ソ連でのチェルノブイリ事故の原因のひとつだった。
RBMKや液体ナトリウム冷却型の原子炉では、炉心での発火もメルトダウンの原因になる。グラファイトはWigner効果(中性子線による固体原子の配置転換;1MeVの中性子の衝突が900の配置転換をおこすようだ)の累積に左右されやすく、グラファイト自体を過剰加熱させる原因となる。1957年の英国でのWindscale fireはこれが原因だった。
・復興国債
現在、政府が今回の震災の復興支援のための復興国債を10兆円発行し、日銀に買い取ってもらう計画を練っているという。国債の日銀買取には賛成だ。政府紙幣の発行と国債の中央銀行による買取は実質的に同じものだ。今回の震災での被害は阪神大震災をこえるものであり、緊急の経済支援は当然だ。そうでなければ一体何のための国家なのだ?あのレッセ・フェールでさえ防衛や治安維持には財政支出が不可欠であるとしているのに、福祉国家を標榜する日本がそれすらやらなかったら全く経済をしらないのと同じである。
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