およそ40年間リビアを統治してきたカダフィ大佐の忠臣による軍と反乱軍との戦いが今年2月15日に始まり2ヶ月を経ているが、既に先月17日に国連安保理がリビアでの軍事行動を容認する決議を採択(国連安保理決議1973 United Nations Security Council Resolution 1973)し、それに基づき英米仏を中心とした多国籍軍(ベルギー、オランダ、カナダ、デンマークなどが参加)が「オデッセイの夜明け」というリビアへの軍事作戦を開始している。決議1973の採決にはロシア、中国、ドイツ、インドそしてブラジルが棄権している。ドイツの棄権票はドイツ国内でも意見が二分されているようで、ドイツ前外務大臣のJoschka Fischerは、現外務大臣Guido Westerwelleが今回安保理決議1973に棄権したことを「スキャンダラスな過ちだ」とし、「ドイツは国連や中東での信用を失うだろう」と述べている一方で、世論はドイツ有権者の3分の2がドイツの軍事作戦参加に反対であり、Westerwelleの決断を支持している。Westerwelleは棄権票ではなく反対票を投じたかったがメルケル首相に説得され棄権としたと報じる新聞もある。
欧州中心の軍事行動は2003年のイラク戦争以来となる。3月19日には米軍のトマホークミサイル約100発がトリポリなどの軍事機関へむけて発射された。多国籍軍の指揮権はNATOに移ったが、そのNATOはリビアにおける飛行禁止区域の設定を国連決議1973によって強制し、即時停戦の要求、また加盟国へカダフィ軍からリビア市民を守るために軍事力を行使することを要請している。
南アフリカのZuma大統領がリビアのトリポリへ、停戦のための話し合いのために到着して、その後NATOによる空爆が行われた模様だ。Zuma大統領はカダフィ大佐との面会のみならず、反乱軍の拠点である人口44万人のベンガジへも訪れることになっている。
空爆はアジュダービヤ-(人口15万のリビアの都市)へ進軍する11両の戦車を破壊、またその都市の5倍の人口を誇るミズラーター郊外にて14両以上の戦車に打撃を与えた。また空爆によりカダフィ軍の補給路のための道路にクレーターができたという。
NATOの軍事作戦の指揮を執っているCharles Bouchardは 、カダフィ大佐とその軍はアジュダビヤーやミズラーター市民にも容赦ない攻撃をくわえていて、今回の空爆がカダフィ軍の兵器とその兵站機関を目標としたものだと述べている。
リビアでのオイル生産がおちこみ、たとえ反乱軍が原油生産を統治したとしても、生産量はリビア内戦前の3分の一にも満たないだろうと予想されている。今月8日には約30ヶ月ぶりに原油価格が1バレル$112を超えた。これが最近の欧州中央銀行の利上げにつながっている。
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