2010年12月11日土曜日

ユーロに加わることのデメリット

ドイツのメルケル首相が10月28日にブリュッセルにて行われたEUサミットの夕食会にて、ドイツがユーロを放棄するということを示唆したという。ドイツは、経済支援をうけたユーロ加盟国からEU Councils での投票権を剥奪することを要求していたが、それは経済小国にとっては不公平で非民主的なシステムになってしまう。1999年にユーロが導入されて以来、同通貨システムの今後の不確定性は最大に近づきつつある。ギリシャやアイルランドを救済したところで、それらの国の経済が回復するわけではないし、スペインやポルトガルの債務危機が顕在化するのは遠い話ではない。救済する(救済できる)のは経常収支黒字のドイツくらいなものだが、そのドイツが今回「ユーロからの離脱も一つのオプションだ」と(夕食会にて)暗にそそのかしたことでその通貨の先行きは一層不透明になったと思われる。
リスボン条約は2007年12月にEU加盟国によって署名され昨年度12月に発行した。この条約はマーストリヒト条約とローマ条約の修正であり、 より中央集権的(ドイツなどの大国寄り)になっているとの批判もある。European Council はEUの公式な機関となり事実上EUの政策の決める。投票システムの改定やEU加盟停止に対しても影響力を持つようだ。ドイツやフランスなど人口の多い大国は多く票が割り当てられるために、大国主導の意思決定機関になってしまう可能性もある。今回のブリュッセルでの会議では経済危機に対応するための体系を2013年に施行するという案を了承した。
チェコ共和国の首相であるPetr Necas氏は、ユーロ導入を急ぐべきではないと述べている。同首相は、現在チェコの独自通貨をコントロールすることで同国が利益を得ていることを繰り返しながら、同国をユーロ圏へ入れるかどうかは同国が決めることとし、今ユーロを導入する(もしくは導入の予定を決める)のは政治的・経済的に愚かなことであると述べている。ネチャス首相の主張は正しい。ユーロ加盟は金融政策の放棄と同等である分、経済が大国に比して弱い同国が今現在ユーロゾーンに入ることが同国の経常収支に悪影響を与えることは十二分に予期できるからだ。

ユーロに加盟するデメリットは簡単に言えば「主権国家がお金を刷る能力を失ってしまうこと」である。ユーロ圏ではEuropean Central Bank(ECB)のみがユーロの紙幣を発行できる。言い換えればユーロの加盟国は独自に政策金利の上げ下げや、お金を刷ってインフレ率の調整ができないのである。ゆえにひとたび政府の負債が膨らめば現在のギリシャ、アイルランド、スペインさらにはポルトガルなどのように負債問題を自力で解決できず長期金利が高騰し、EUやIMFに救済を要請するシナリオになるのだ。

PS. 国家の3要素とは領土、国民、主権であるが、その領土や国民を他国から守るために各国はそれぞれの自衛力を有していて、個別的自衛権もある(国連憲章51条)。簡単に言えば軍事力をもっている。この軍事力を他国に移譲してしまったらどうなるだろう?自国を防衛するすべが無くなり、他国と対等に交渉ができなくなってしまう。さらには軍隊や警察は治安維持に必要だが、これだけでは国民は安心した生活をおくることはできない。お金が無ければ食料を買うことができず、困窮してしまう。お金を得るには所得が必要で、所得を得るには一般には雇用されて労働することが求められるが、世の中が不景気では失業率が高くなり職を失う人が増えてくる。また企業赤字が増えて倒産を余儀なくされる企業も出てくる。それら失業率や企業業績を改善させるためには政策金利を下げて企業が銀行からお金を借りやすくしたり、中央銀行がしっかりお金を刷ってインフレ率を上げて企業や家庭持ちサラリーマンの債務や住宅ローンの負担を軽くしたりする金融緩和が不可欠である。なので金融政策を他国に任せることは軍事力を他国に移譲するようなものである。
 

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